たまプラーザ(神奈川県横浜市青葉区)

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たまプラーザは、神奈川県横浜市青葉区の北部に位置するニュータウンです。たまプラーザという住所はなく、「美しが丘」という名前がついています。
たまプラーザのある青葉区は、横浜市の北端にあり「丘の横浜」とも呼ばれています。1994年に誕生した新しい行政区で、東急多摩田園都市沿線の宅地開発により人口が増加し続けています。この沿線の中でも代表的なニュータウンが、たまプラーザです。かつて田畑と山林が広がっていましたが、1960年以降に東急電鉄による土地区画整理事業で開発されました。1983年には、ドラマ「金曜日の妻たちへ」の舞台となったことで知られています。景観に対する意識が高く、1987年に「かながわのまちなみ100選『すまいのまちなみ』」を受賞。2005年、住まいのまちなみコンクール「住まいのまちなみ賞」を受賞しました。近年では、たまプラーザ駅が再開発され、新駅舎が鉄道建築協会の2010年最優秀協会賞を受賞しています。



たまプラーザのキーワード
1.道路区画設計 2.歩行者専用道路 3.駅再開発




たまプラーザMAP




たまプラーザの利便性



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<東急百貨店が入居するショッピングモール「たまプラーザテラス」>




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<たまプラーザ駅構内。ドーム状の吹き抜けがあり開放的。>




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<たまプラーザ駅周辺。大きな街路樹が目につく。>



生活の利便性:★★★★★


たまプラーザの「プラーザ」は、スペイン語で「広場」という意味で、多摩田園都市の中心となる街として、開発が進められました。たまプラーザ駅周辺には、百貨店が入居するショッピングモールや各種専門店があり、日用品はもちろん休日のショッピングも楽しめます。ゆとりある広場や街路樹、優雅なオープンテラスは、たまプラーザならでは。都心とはまた違う、ニュータウンの魅力が詰まっています。駅から離れた住宅街にも商店や医院があるので、買い物環境は非常に優れているといえるでしょう。
たまプラーザ駅には、渋谷から二子玉川を経て中央林間を結ぶ東急田園都市線が通っています。ほぼ全ての列車が地下鉄半蔵門線へ直通し、表参道や大手町、三越前といった都心部へ乗り換えなしで行けます。近年、たまプラーザ駅と周辺商業施設が再開発され、地域の拠点に相応しい巨大ターミナルへ生まれ変わりました。隣町からも人が押し寄せる魅力ある駅へ、成長を続けています。


たまプラーザの街並み



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<美しが丘地区の一般的な街並み。>



「城西南地区開発趣意書」について

たまプラーザは、新興の高級住宅街といわれています。戦後しばらく二束三文だった山林は、開発によって庶民が手を出せない住宅街に成長しました。この開発の発端となったのが、1953年に東急電鉄の五島慶太会長が発表した「城西南地区開発趣意書」という意見書です。意見書には「東京駅から約四十粁の範囲で、一番開発されていないのが二子玉川より先の厚木大山街道沿い」であること、加えて東京の人口増加とインフラの逼迫問題を指摘し、ロンドンとニューヨークが採った都市政策を紹介しています。そして「第二の東京都を作る場所として何処が一番良いかという事を私は色々と考えて見ましたが、やはり厚木大山街道に沿っているあの港北区の一面の山林、原野以外にはその地勢、気候、距離等に於て適当な土地が無いと断定致しました」「これをやるのはやはり東京急行電鉄が一番適当であると考えます」と結びました。
今日、この意見書を見ると、先見の明がある文章で非常に説得力があります。しかし、発表当時は奇想天外な文章であったことは言うまでもありません。意見書は、この後に具体的な施策を書き記しています。
初めに「玉川から荏田、鶴間を経て座間、厚木に至る間に電車か又は高速度道路を作ることが必要」と、交通インフラの整備を挙げています。ただし「今電車を作る時は少くとも一粁一億円以上要しますので、差し当り私は高速度道路を作り凡ての道路を立体交叉を以って往路と復路を別にするようにしたならば電車以上の収容力もあり、輸送力も出て来ると思います」という文言を加えており、電車は建設しないと決めていたようにも思われます。翌年1954年には、渋谷と江の島を結ぶ有料道路「東急ターンパイク道路」の計画を発表しましたが事業免許が下りず、国による「第三京浜道路」と「東名高速道路」に構想が引き継がれました。結局、電車によるインフラ整備に切り替え、1966年に東急田園都市線(溝の口〜長津田)が開業しました。
その他、地域振興として東映大泉撮影所の移設や、ゴルフ場の建設が挙げられました。なかには「動物をあの上野の様な狭いきたない処へ置く事は、如何にも惨酷であります」ということで、東京都と相談して上野動物園を移設することも含まれていました。さすが「強盗慶太」の異名を持つ五島会長です。このような具体的な意見と実行力があったからこそ、東急多摩田園都市が成功し憧れの街になったのでしょう。





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<菅生緑地沿いの街並み。>




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<ユリノキ通り。日常清掃や樹木医による個別診断を行い、景観を維持している。>




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<歩行者専用道路沿いの街並み。>




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<カーブを描く道路に広い住宅が並ぶ。>



たまプラーザが抱える問題

(1)高圧電線
元々たまプラーザは、川崎市との境界近くにあった山林です。このような場所は、高圧電線を通すのに都合がよく、たまプラーザ開発前に設置されました。現在も、たまプラーザを横断する形で高圧電線が通っています。住宅街の写真を撮ると、意図しなくても鉄塔が入ってしまう状態です。小学校の真上にも通っており、気になる人は住めない環境でしょう。

(2)建築協定
東急多摩田園都市の開発は、集団交渉方式で行われました。これは、地元の開発委員会が主体となって土地所有者の譲渡承諾を求め、70〜80パーセントの土地が集まったところで、土地買取単価や払い下げ方式を交渉するという手法です。よって、たまプラーザなどのニュータウンは、土地区画整理事業で進められることになりました。美しが丘の住宅街の中に、個人商店や賃貸住宅が建てられているのは、東急とは別の土地所有者がいるからです。移り住んできた住民にとって、閑静な住宅街が都市として発展することは思いがけないことでした。悩んだ住民は、当時はまだ珍しかった「建築協定」に注目。1972年に日本で初めて住民発意による建築協定が締結されました。この建築協定は10年という期限があり、その都度再締結が行われています。住民全員の同意によって成り立つ協定だけに、将来的な不安が残ります。

(3)川崎市との都市計画
市境が近いことで、周辺と一体的な都市開発ができないことも問題です。現状では、横浜市側が閑静な住宅街であるのに対し、川崎市側はマンションや流通施設が建てられる用途指定になっています。1990年代には、マンション計画に対する反対運動や住民が提訴する動きもありました。しかし、住民合意のもとマンションの建設が許可されています。今現在、美しが丘の住宅街を南側から見渡すと、戸建住宅の背景に中層のマンションが建ち並んでいます。





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<歩行者専用道路は、坂道や階段も多い。>




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<住宅の真上を通る高圧電線。>




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<南側から美しが丘の住宅街を見渡す。>




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<豪邸が多い地区。独特の雰囲気が漂う。>




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<たまプラーザ団地。外観は普通の団地と変わらない。>



美しい街並み:★★★★★


たまプラーザは、イメージとは裏腹、街並みは美しくありません。土地区画整理事業により開発されたため住宅の形はバラバラで、それぞれの建物が主張し合う格好になっています。当然、電柱などは地中化されず、バリアフリーはもってのほか。坂の多さゆえに、たまプラーザを住みにくい街と判断する人もいます。
しかしながら、強いブランドイメージを持っていることは確か。マスコミは「たまプランヌ」という、たまプラーザのセレブ住民を表現した言葉を生み出しました。主張し合う家々は、セレブに相応しい豪邸や、個性的なデザインの住宅と捉えることができます。
たまプラーザ駅から近い「たまプラーザ団地」は、現在でも人気の物件です。1968年に日本住宅公団が分譲した、どこにでもある古めかしい団地です。ところが、売り出し物件を調べてみると、リフォームされている部屋が多く、外観とは相当ギャップがありました。占有面積はそこそこ広く、立地条件も良いので、人が集まるのも頷けます。


たまプラーザの自然



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<見事なけやき並木。1970年前後に植樹された。>




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<美しが丘公園。青葉区のログハウス、通称「ロケットハウス」がある。>




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<鳥のさえずりが聞こえる菅生緑地。緩衝地帯としての役割もある。>




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<未開通の道路。開通に反対する看板もある。>




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<未開通の道路。車の通りは少なく静か。>




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<1982年に開設された川崎市中央卸売市場北部市場。>



緑豊かな自然:★★★★★


たまプラーザには、美しい並木道があります。そのうちの一つ「けやき並木」は、街の開発時に植樹されたもので、街とともに成長しました。住民の景観に対する意識が高く、市民ボランティアによって丁寧に手入れされています。
住宅街には大小いくつかの公園があり、子供達が遊べる遊具が充実しています。最も大きな公園は、たまプラーザ駅と美しが丘の住宅街の中間にある「美しが丘公園」で、約22,000平方メートルあります。この公園は、お祭りなどのイベント会場になるほか、野球場やお花見広場があり多くの人が訪れます。横浜市内の各区には、図書室や工作コーナーを備えたログハウスが建てられており、この美しが丘公園に青葉区のログハウス、通称「ロケットハウス」があります。
たまプラーザ住民の憩いの場になっているのが、菅生(すがお)緑地です。約7.1ヘクタールあるこの緑地には、芝生の広場や丘陵、遊具があります。休日には多くの家族連れが訪れ、ボールで遊んだり、お弁当を食べたりと賑やかになります。街を歩いている時に思ったのは、所得水準が高いわりにミニバンタイプの国産車が多いことです。推測ですが、子育て中の家庭が多いのでしょうか。
さて、菅生緑地は隣の川崎市にあります。たまプラーザ側からも入れますが、メインの入口は反対側です。メインの入口へ行くと見えてくるのが、生鮮食料品を取り扱う卸売市場です。閑静な住宅街に相応しくない施設と思いますが、これは横浜市側から見た考えです。川崎市にとっては、近くに東名高速道路の川崎インターがあり、物流拠点として最適な場所です。周辺地域に生鮮食料品等を安定供給するためにも、施設は必要でした。先に住んでいる美しが丘の住民は当然反対しましたが、願いは叶いませんでした。なんとか救われたのは交通導線です。市場から横浜市内へ通ずる道路は、菅生緑地付近の数十メートルを残して途切れています。これにより、閑静な住宅街が守られました。


たまプラーザの必見ポイント



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<住宅街の中にあるロータリー。>




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<たまプラーザテラスに直結する歩行者専用道路。>




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<たまプラーザ団地を通る歩行者専用道路。>




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<歩行者専用道路は美しが丘の住宅街へ繋がる。>




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<歩行者専用道路と幹線道路の交差部。太鼓橋型の歩道橋が架かる。>




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<太鼓橋が架かる街並み。>



必見ポイント:★★★★★


たまプラーザの美しが丘住宅街は、道路設計が特徴的です。U字や渦巻き状の道路が地形に沿って造られています。また、袋小路(クルドサック)が多く、その端末にはロータリーを設けています。この設計によって、他にはない街並みを形成するとともに、住宅街の中を通る自動車の数を減らし、良好な住環境を維持しています。
美しが丘の道路設計は、当初から計画されたものではありませんでした。元々は、碁盤の目に近い平凡な区画になる予定だったとされています。しかし、高圧電線や鉄塔が障害となり、造成工事が難航したため設計変更されました。普段は目障りに感じる鉄塔ですが、特徴的な街並みを造るキッカケでもあったのです。
ニュータウンの中には、歩行者と自動車が通る道路を分ける「歩車分離型(ラドバーン方式)」の街があります。この歩車分離を、日本で初めて本格的に取り入れたのが、たまプラーザです。たまプラーザ駅前のショッピングモールからは、歩行者専用道路が伸び、枝分かれをして美しが丘の住宅街へ続きます。一般の道路よりも蛇行しておらず、駅と住宅を結ぶ近道として利用されています。その影響か、他のニュータウンと比べて、歩行者専用道路側に玄関がある住宅を多数見かけました。
歩行者専用道路は、当時の法的な問題から、緊急車両が乗り入れ可能な一般道路という扱いで整備されました。タイル張りではあるものの、植栽等は設置が認められず、少々殺風景です。そんななか、たまプラーザ独自の風景として、幹線道路の交差部に架けられた歩道橋があります。この歩道橋は、太鼓橋の形をしている珍しいもので、ドラマのワンシーンにも使われました。たまプラーザの街並みを象徴する橋といってもいいでしょう。


たまプラーザの評価





たまプラーザの評価結果
生活の利便性★★★★★
美しい街並み★★★★★
緑豊かな自然★★★★★
必見ポイント★★★★★
総合評価★★★★




たまプラーザの利便性は、ニュータウンの中でもずば抜けて良いです。ただし、街並みに関しては、並木道などの共有部が素晴らしく整う一方で、住宅などの占有部がゴチャゴチャとしている印象です。この辺りは、ブランド力で上手くカバーしているように思えます。現在開発が進む「美しが丘西」では、より整った街並みになることが期待できます。



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